農薬散布のタイミング 虫編

この記事では、次の疑問が解決できます。

→ べと病ってどんな病気?ぶどうがどうなるの?
→ どのタイミングで、どんな農薬を使えばいい?
→ 登録されている農薬にはどんな種類がある?

成虫になってからでは遅い?

虫に農薬をまくなら、「成長する前」または「飛来直後」がベストです。
なぜなら、成虫になると薬が効きにくくなるからです。

成虫は体の構造がしっかりしていて、薬が葉の表面に留まりにくく、飛んで逃げる能力も高いため、防除が難しくなります
一方、幼虫のうちは皮膚が柔らかく動きも鈍いため、薬剤がしっかり浸透しやすいのです。

「見てからまく」では手遅れになることも。“先回り”の発想が虫対策の基本です。

散布のタイミングは「成長期」と「飛来期」

虫の防除で効果を上げるには、活動のピークを逃さないことが大切です。
以下の表に、まくべきタイミングと対象となる代表的な害虫をまとめました。

散布タイミング散布の目的ポイント
成長期葉や実を食べ始める前に駆除幼虫は薬が効きやすく、被害を抑えやすい
飛来期作物への産卵を阻止し繁殖を防ぐ成虫の侵入初期を狙えば、次世代発生をまとめて抑えられる

【体験談】現場ではどうした?

私たちの畑では、以前は4月中旬にカメムシ対策として散布していましたが、
最近では5月上旬の散布がより効果的だと感じています。

というのも、越冬していたカメムシが5月に本格的に活動を始めることが多く、この時期に叩いておくことで初期被害の軽減につながるからです。
さらに、早めに産まれた次世代カメムシへの予防にもなるため、タイミングとして非常に効率がよいのです。

「まだ虫が見えないのにまくのは無駄」と思われがちですが、予防散布は“被害を出さないための投資”
発生後の被害対応は、労力も農薬もかさむため、先手を打つことが防除の王道です。

害虫防除の基本ポイント

防除は“タイミング8割”。今だに農業を教えてくれた師匠の言葉を忘れることはないです。

撒く時期で効果が大きく変わることを覚えておきましょう。

  • 「成長期」と「飛来期」をしっかり押さえること
  • 幼虫は薬がよく効く。成虫は逃げやすく効きづらい
  • 過去の発生記録や地域情報、防除カレンダーを活用
  • 散布日をスケジュール化して管理すると安心

Q&A

よくある質問を簡単に整理します。

質問回答
Q1. 虫を見つけてから農薬をまいても意味がないの?効果はあるものの、すでに被害が広がっている可能性があり、完全に抑えるには何度も散布が必要になる場合もあります。やはり予防が理想です。
Q2. 予防散布をすると農薬の使用量が増えませんか?一見多く思えますが、発生初期に抑えればその後の薬剤使用を減らせます。結果的には少量で済むことが多いです。
Q3. 害虫の発生時期はどうやって知るの?地域のJA、農業指導機関が発信する防除カレンダーが役立ちます。過去の自分の圃場データも重要な手がかりになります。

まとめ

農薬の効果を最大限に活かすには、「来る前にまく」意識が必要です。
虫が見えてからではなく、発生の予兆を読んで散布することで、防除効率もコストパフォーマンスも大きく改善されます。

  • 成長前の幼虫を狙う
  • 飛来期に先手を打つ
  • 越冬個体を早めにたたく

この3つを意識すれば、よりスマートな害虫防除が実現できます。

次回は【③病気の場合の農薬タイミング】について解説します。
病気は「発生してから」では手遅れになることも。予防こそ最大の対策です。