この記事では、次の疑問が解決できます。
→ 病気に農薬をまくのは、症状が出てからで間に合う?
→ なぜ「予防的」に散布するのが効果的なの?
→ 病気の葉を見つけたら、どう処理すればいい?
病気は“出てから”ではもう遅い?
農作物の病気は、症状が見えてから対処しても間に合わないことが多いです。
たとえば、うどんこ病や灰色かび病、べと病などは、目に見えるより先に作物の中で進行しています。
病気が出てから農薬をまいても、被害の拡大を止めるのは難しく、収量や品質に悪影響を及ぼす可能性も。
→ だからこそ、「予防的に散布しておく」ことが最大の防除策になります。
予防的散布が最も効果的
農薬は「治療薬」ではなく、「発病を防ぐ予防薬」としての役割が大きいです。
病気が出やすい条件がそろう前にまいておくことで、作物を守る“防壁”をつくるイメージです。
散布のタイミングの目安は次のとおりです。
- 高温多湿・長雨の前
- 前年に病気が出たタイミング
- 葉が混み合って風通しが悪くなる時期
病気は一度発生すると一気に広がります。「出てから」ではなく「出る前」が勝負です。
私の実例 5月末、ニンニクのサビ病対策
たとえばニンニクでは、5月末ごろにサビ病がよく出ます。
最初は何も知らず、毎年やられていました。葉が赤茶色になり、光合成ができなくなって収穫もガタ落ち……。
今では、5月中に殺菌剤をしっかりまくことを徹底しています。
梅雨前に1回、しっかり予防することで、その後の被害をほぼゼロにできています。
「同じ作物・同じ時期に病気が出る」パターンは本当に多いので、経験則を活かすことが大事です。
病気が出たら?即撤去&物理的に廃棄!
どれだけ予防しても、病気が出てしまうことはあります。
そのときは、発見した病斑はすぐに取り除くことが鉄則です。
- 病気の葉や果実を見つけたら即ゴミ袋へ密閉
- 園外に持ち出し、可燃ごみとして廃棄
- 放置したり畑に置いたりしない(再感染のもとになります)
※以前は日光での加熱処理も行っていましたが、確実に処分するには「物理的に廃棄する」のが一番効果的です。
「1枚ぐらい」と思っても、放っておけば数日で広がることもあります。迷ったら“捨てる”のが正解です。
よくある失敗とその対策
少しの症状だからと放置する
→ 小さな病斑でも、放置すると畑全体に広がる原因に。すぐ処分が基本。
雨の後すぐにまく
→ 葉が濡れていると薬が流れてしまいます。葉が乾いてから散布を。
毎年同じ薬ばかり使う
→ 同じ成分ばかりだと耐性菌が出やすくなります。ローテーション使用が基本です。
まとめ
農薬での病気対策は、次の2つをセットで考えるのが重要です。
- 出る前にまく(予防的散布)
- 出たら即捨てる(物理的な撤去)
特に5〜6月は病気が増える時期です。作物ごとの傾向や過去の発生時期をしっかり記録し、「今年もそろそろ来るかも…」という先手の意識が、防除の成功率を大きく左右します。
Q&A
よくある質問を整理してみます。
Q | A |
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病気が出たら農薬をまけば止まりますか? | 一部の治療効果がある薬もありますが、基本的には予防が目的。発病後では効果が落ちます。 |
病気の葉はどう処理すればいい? | 見つけ次第、袋に密封して園外で物理的に廃棄してください。畑に置くのは厳禁です。 |
雨の翌日にまいても大丈夫? | 葉が濡れていると薬が流れて効果が下がります。必ず葉が乾いてから散布するのが基本です。 |
この内容は、「農薬をまくタイミング」3部作の第3回(病気編)です。
シリーズで読むと理解が深まり、病害虫への対応が格段にしやすくなります。
→ 【①天気編】曇りの日がなぜベスト?
→ 【②虫編】成長前・飛来期が勝負!