この記事では、こんな疑問を解決します。
→ べと病ってどんな病気?ぶどうがどうなるの?
→ どの農薬が効果的?使用タイミングは?
→ 登録されている農薬は何があるの?
症状と発生タイミング
ぶどうの葉白カビのようなものが広がっていく…。
「気づいたときには、もう手遅れだった」そんな経験、ありませんか?
私も以前、べと病の初期症状に気づかずに放置してしまい、
葉が落ちてしまって実が太らず、収穫量が大きく減ったことがありました。
その反省から、「時期」と「農薬の選び方」をセットで考えるようになってからは、被害をぐっと減らすことができました。
べと病とは?
べと病は、葉や果実にに黄色い斑点や白カビのような胞子が現れる病気です。
放っておくと、光合成ができずに実が太らず、収穫にも大きく影響します。
私の地域では特に梅雨の時期(5〜6月)や雨の多い年は発生しやすく、早めの防除がカギになります。
いつ防除すべき?
防除のポイントは次の2つです。
【A】発病前に予防的に使う
べと病は、「出てからでは手遅れ」になることもある厄介な病気です。
とくに、梅雨入り前の5月〜6月は湿度が上がり、発病しやすい環境になります。
発芽後すぐの時期から、予防的に殺菌剤を散布しておくことが重要です。
早めの薬散で、葉が落ちず、実の肥大も順調になりました。
【B】発病後は物理的に取り除く
一度発病してしまった葉や果房には、薬剤の効果は限定的です。
発病部分を見つけたら、すぐに園外へ廃棄することが重要です。
- 感染源を断つことで、これ以上の広がりを防げます。
- 廃棄時はゴミ袋に密閉し、園地の外へ出すのが原則です。
私は「見つけたら即ゴミ袋」。日をおかずに処理することで、大発生を抑える。これが意外と大事でした。
とはいえ、治癒系の農薬もあるので、記載しておきます。
べと病に使える農薬6選
「ぶどうのべと病」に対して登録されている主な殺菌剤の一覧です。
有効成分・系統・効果のタイプをチェックしながら、状況に応じて使い分けてください。

生育初期・予防期(残効性が長い農薬)
No.1〜4(ICボルドー66D、デラン、ダイセン、オーソサイド)
べと病は発病してからでは遅い病気。
だからこそ、「出る前に防ぐ」という予防の考え方が大切です。
- 予防薬は「病気が出る前」にまく!
- FRACコードを確認して同じ系統の連続使用は避ける!
発病期・拡大期(治療・即効性のある農薬)
No.5〜6(SDSドーシャス、カビナイスPZ)
万が一、病斑が出てしまったときは、スピードが命!
ここで使うのは、即効性があり、葉の中まで浸透してくれる治療型農薬です。
- 発病初期〜48時間以内が勝負と農薬メーカに聞きました。確かにその通りかも。。。
- ローテーションで“効き目の持続”を確保!
表で整理
ステージ | 対策の軸 | おすすめ農薬(例) |
---|---|---|
生育初期・休眠期 | 予防・残効性重視 | ボルドー、ダイセン、デラン |
発病期 | 即効・治療効果重視 | ドーシャス、カビナイス |
注意点とスケジュール例
使用時に気をつけたいことは次の2つです。
【A】同じ系統を連続で使わない
農薬には「FRACコード」と呼ばれる系統分類があります。
同じコードの農薬を連続使用すると、病原菌が“慣れて”しまい、効きにくくなることも。
系統を確認しながら、ローテーション使用を心がけましょう。
【B】使用回数と収穫前日数を守る
農薬には、使用制限が必ずあります。
- 「年3回まで」「収穫の10日前まで」などが定められています。
- 特に収穫直前は、残留基準を超えないよう要注意。
私は毎年、散布日・農薬名をカレンダーやアプリで記録しています。
記録はトラブル防止にもつながります。
【参考】べと病防除スケジュール
あくまで、参考です。適宜組み換えて使用してみてください。
月 | 病気のリスク | 使用薬剤例 | ポイント |
---|---|---|---|
4月 | 低〜中 | ICボルドー66D | 発芽後の予防。安価で使いやすい。 |
5月 | 高 | SDSドーシャス | 梅雨入り前に本格的な予防を。 |
6月 | 高 | カビナイスPZ | 飛散防止&治療効果も期待。 |
7月 | 中 | デラン or ダイセン | 高温多湿下での継続防除。交互使用がおすすめ。 |
8月 | 低〜中 | キャプタン系 | 実への影響を抑えつつ、仕上げの予防に。 |
まとめ
ぶどうのべと病対策は、「予防+ローテーション+管理」がすべて。
放っておくと収穫に直結する病気だからこそ、“準備”が命です。
今年は葉が落ちず、果実もピカピカだった!
そんな年になるよう、早めの対策をおすすめします。