米国の関税政策が随時発表されていますね。
農産物も関税対象になるとの報道もありましたね。
そもそも「追加で10%!」とニュースが出るたびに、
「今の関税率はいくらなの?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
今回は、現在の関税率を整理し、国ごとの最新状況を整理してみます。
最新の関税率と早見表
次が整理した関税率の表です。
2025年 米国関税状況(3月3日時点)
国/地域 | 現行関税率 | 新関税率(変更後) |
---|---|---|
中国 | 10% | 20%(+10%) |
カナダ・メキシコ | 0%(USMCAにより撤廃中) | 25%(エネルギーは10%) |
全貿易相手国 | 各国により異なる | 各国の関税率に応じて変更 |
日本 | 0%(自動車は2.5%) | 未定 |
最新の関税率と対象国別の詳細
次に各国の深掘りです。
① 中国:関税倍増で全輸入品に影響
米国は2025年2月4日より、中国製輸入品すべてに追加10%の関税を課しました。
さらに3月4日には追加で+10%が適用され、合計20%(+10% → +10%)へと引き上げられました。
特に注目すべきは、少額輸入品(デミニミス)も課税対象になったことです。
これまで800ドル以下の小口輸入品は免税されていましたが、この規制撤廃により、衣料品・電子機器・日用品などの価格上昇が避けられない状況です。
中国政府もこれに対抗し、米国産の石炭・LNGに15%、原油・農業機械・自動車に10%の報復関税を発動しました。
さらに、米国の措置を不当としてWTO(世界貿易機関)に提訴する方針も明らかにしており、米中の貿易摩擦はさらに悪化するとみられています。
項目 | 内容 |
---|---|
現行関税率(2024年まで) | 10% |
新関税率(2025年3月4日~) | 20%(+10% → +10%で倍増) |
対象品目 | 全ての中国製輸入品(電子機器、衣料品、日用品、機械、自動車部品など) |
影響 | 少額輸入品も課税対象。消費者物価の上昇、中国の報復関税によりエネルギー・農業製品にも影響。 |
この関税引き上げにより、米国の消費者は電子機器・衣料品・日用品などの価格上昇に直面し、中国との貿易戦争が再燃するリスクが高まっています。
企業にとっても輸入コストの増加が避けられず、価格転嫁の動きが強まる予想。
② カナダ・メキシコ
米国は当初2月4日にカナダ・メキシコからの全輸入品に一律25%の追加関税を発動する予定でした。
しかし、両国との交渉の結果、一時延期され、3月4日より正式に関税が適用されることが決定しました。
また、今回の関税措置では少額輸入品(デミニミス)も課税対象となり、これまで免税だった低価格商品の輸入にも影響が及ぶことになります。
カナダ・メキシコ政府の対応
- カナダ政府は対米報復関税を計画。
- まず、オレンジジュース・酒類・衣料品・家電・オートバイの米国製品に25%の関税を課す予定。
- メキシコ政府も報復関税を示唆しており、貿易摩擦の激化が予想される。
項目 | 内容 |
---|---|
現行関税率(2024年まで) | 0%(USMCAにより撤廃中) |
新関税率(2025年3月4日~) | 25%(エネルギー資源は10%) |
対象品目 | 自動車・自動車部品・農産品・消費財・エネルギー資源(原油・天然ガス) |
影響 | 消費者価格の上昇、カナダ・メキシコによる報復関税で米国の輸出企業に打撃。 |
特に、自動車や農産品の価格上昇が懸念されるとともに、北米自由貿易圏内での貿易戦争のリスクが高まっています。
また、エネルギー資源に関しては関税率が10%に抑えられましたが、原油・天然ガスの価格動向にも影響を及ぼす可能性があります。
③各国の相互関税4月1日から
2025年2月13日、トランプ大統領は「相互関税(Reciprocal Tariff)」の導入を発表しました。
この制度では、貿易相手国が米国製品に課している関税率と同じ関税を米国も課す方針が示されています。
現在の関税変更は中国・カナダ・メキシコが中心ですが、4月1日以降、米国と貿易関係を持つ全ての国に影響が及ぶ可能性があります。
項目 | 内容 |
---|---|
現行関税率 | 各国により異なる |
新関税率(2025年4月1日~) | 各国の関税率に応じて変更 |
対象品目 | 各国の関税政策に応じた品目(未確定) |
影響 | 貿易交渉の進展次第で、関税の増減が決まる。 |
この新制度により、米国と貿易を行う国々は今後の交渉次第で関税が引き上げられるリスクを抱えることになります。
日本も例外ではなく、特に自動車や精密機器、電子部品などが対象になる可能性が指摘されています。
④ 米国内への影響
今回の関税措置は、米国内の経済にも大きな影響を及ぼすとみられています。
- 消費者物価指数(CPI):関税の影響で、米国のインフレ率が押し上げられる可能性がある。
- GDP成長率:S&Pグローバルの試算では、米国の成長率が押し下げられる可能性。
- 企業経営への影響:輸入コスト増による価格転嫁が進み、特に製造業・小売業への影響が懸念される。
今後の展望
米国の関税政策は、今後の貿易交渉や経済状況によってさらに変化する可能性があります。
特に、4月1日からの「相互関税」がどのように適用されるのか、カナダ・メキシコの報復関税がどこまで広がるのかが注目されます。
関税の引き上げは、短期的には国内産業を保護する側面もありますが、長期的には貿易摩擦の拡大やインフレ圧力の強化につながるリスクがあります。
今後も最新の情報を注視し、適切な対応策を考えていくことが重要です。